なぜ墓じまいではトラブルが多発するのか?
墓じまいをめぐるトラブルは、「悪質な業者がいるから」「お寺が強欲だから」という理由だけで起きるわけではありません。
本当の原因は、私たち一般の消費者と、プロである業者やお寺との間にある「知識と経験の差」にあります。この点を知らないまま個別の対策だけをしても、トラブルを根本から防ぐことはできません。
「一生に一度」だからこそ起きる知識の差
墓じまいは、ほとんどの方にとって一生に一度経験するかどうかの出来事です。住宅購入や結婚式と違い、ネット上に詳しい相場情報が少なく、周りに経験者も少ないため、口コミで情報を集めることも難しくなります。
一方で、業者やお寺側は毎日のように同じことを繰り返している「プロ」です。この知識と経験の圧倒的な差が、不透明なお見積もりや、相場を大きく超える請求を生む原因になっています。
大きなお買い物をする時と同じように、お墓じまいでも以下の3つを必ず守ることで、数十万円の損を防ぐことができます。
- 必ず複数のお寺や業者から話を聞き、比較する(相見積もり)
- 「一式」で済ませず、何にいくらかかるのか内訳を出してもらう
- 契約する前に、一般的な「相場」を調べて基準を持つ
国民生活センターに寄せられる深刻なご相談
独立行政法人の国民生活センターには、墓じまいや「離檀料(お寺から離れる際のお布施)」に関するご相談が絶えません。実際に以下のような事例が公開されています。
【80代女性の事例】
墓じまいをお寺に相談したところ、300万円の離檀料を要求された。払えないと伝えると「ローンを組んではどうか」と勧められた。
【70代女性の事例】
「過去帳(ご先祖様の記録)に8人の名前が載っているから」という理由で、700万円という法外な請求をされた。
離檀料の一般的な相場は5万円〜20万円程度と言われています。これらは相場の何十倍にもなる異常な金額です。
こうした高額請求は、お寺側に明確な悪意があるケースだけでなく、「これまでお世話になった感謝の気持ちを、いくら包めばいいか分からない」というご家族の不安につけ込む形で起きてしまうことも少なくありません。
気をつけるべき「3つのトラブルパターン」
墓じまいのトラブルは、誰とやり取りをするかによって大きく3つに分けられます。
1. お寺とのトラブル
離檀料の高額請求や、墓じまいそのものの拒否などが中心です。法的な支払い義務がないお金を「これまでの慣習」として請求されるため、正しい知識を持っていないと対応が難しくなります。
2. 石材店・業者とのトラブル
お見積もりのどんぶり勘定、「うちの指定業者しか使えない」という言い値での契約、撤去した墓石の不法投棄など、お金と工事の品質の両方でトラブルが起きます。
3. ご親族間のトラブル
お墓を継ぐ人が一人で勝手に進めてしまったり、費用の負担で意見が割れたりするケースです。法的な権利があっても、感情のもつれは法律では解決できないため、最も精神的な負担が大きくなります。